ねじ職人コラム

Screw Craftsman Column

品質管理

2012/03/08 | 品質管理
ねじの品質管理⑬(耐食性試験)

 ねじの品質管理⑬  
  耐食性試験 
めっきの性能として最も重要なものに金属が錆びにくいことが上げられます。
その錆発生の状況を調べる試験として耐食性試験があります。
これは一般的に塩水噴霧試験と呼ばれるものです。
試料(ねじ)に塩水を数時間~数日間連続噴霧し、その表面状態を観察し錆の発生する
状況を調べます。
この耐食性はクロメート皮膜の種類、めっきの種類、めっき膜厚、密着性、キズなど
に左右されその内容が変わります。
一つの例として、自動車部品などでそのめっき仕様が
三価クロメート皮膜で 亜鉛めっき膜厚が8μ以上の場合、
塩水噴霧試験にて 白錆発生までの時間が  72時間(3日)以上
             赤錆発生までの時間が 240時間(10日)以上
 
  などと決められている製品が有ります。

SST 240時間経過にて白錆発生例
SST240
SST 480時間経過にて赤錆発生例
   SST480
塩水噴霧試験方法 (Methods of salt spray testing)
JISZ2371
塩水噴霧試験装置などを使用して、中性の塩化ナトリウム溶液を噴霧した雰囲気にて行う。
塩化ナトリウム濃度 5%
装置内雰囲気 温度 35゚C、 湿度 100%  

塩水噴霧試験装置
SST

2012/02/17 | 品質管理
ねじの品質管理⑫(めっき膜厚)

ねじの品質管理⑫  
   めっき膜厚測定 
表面処理の説明から
めっき膜厚が錆発生に至るまでに重要な役割を果たしていることが
お解かり頂いたでしょうか、
ですから、ねじの品質管理として、めっき膜厚測定が上げられます。
測定方法には、ねじを破壊(溶解、切断)して測定する方法、非破壊によるものが
有り、数種類の測定方法が有ります。それぞれに特徴、一長一短があり、ねじの
形状や簡便、用途、精度などにより選定されます。

(1)顕微鏡断面試験方法  
めっき(試料)の垂直断面を顕微鏡で観察し、めっき厚さ計測の基本的な試験
(多少の熟練が必要、試料作製に時間を要する)
  (写真による記録が残せる)
顕微鏡写真
(2)滴下式(ドロップ式)試験方法
腐食性溶液を試料(ねじ表面)に滴下し、めっきが溶解するに要した時間によりめっき膜
の厚さを求める試験
(精度に問題があり、現在はあまり使用されていない)

(装置は簡単) 滴下試験
3)蛍光X線式試験方法
試料(ねじ)にX線を照射し、発生した蛍光X線量を測定し、めっき厚さを求める試験。  
  蛍光X線装置
(微小部品や測定の厚み・面も広い範囲で選択が可能で利点が多い)
(4)電解式試験方法
試料(ねじ)を陽極とし、測定箇所を小容器で押さえ、めっき剥離液を注入し、定電流で
溶解し、溶解に要した時間からめっき厚を求める試験。

(小物、複雑な形状箇所の測定は不可 : 液の保持が困難)
(JISH8501より) 電解式
その他に 電磁式、渦電流式、β線式などいろいろとあります。
それぞれ特徴があり、その利点を選択し測定します。

2011/11/01 | 品質管理
ねじの品質管理⑪(硬さ試験③)

ねじの品質管理⑪
  硬さ試験③     硬さに対する近似的換算
各種硬さ試験による数値は他の硬さ試験、引張強さへ近似的に換算する事が出来
ます。
例えば試料の大きさが小さくてロックウェル硬さが測定不能な場合、ビッカース硬さ
を測定してロックウェル硬さに近似的に換算出来ます。
ビッカース硬さの測定値が 294Hvならば 下記の換算表から ロックウェル硬さは
HRC29に換算する事が出来ます。
また 換算表から引張強さが近似的に930N/mm2 である事が解ります。

換算表530
では、引張強さが 1000N/mm2 の場合、ロックウェル(Cスケール)硬さ HRC はいくつでしょうか?

2011/10/17 | 品質管理
ねじの品質管理⑩(硬さ試験②)

ねじの品質管理⑩
  硬さ試験②      ロックウェル硬さ試験(HR) 
ねじの硬さを計る方法として、多く使用される試験方法として
ロックウェル(Rocwell)硬さ試験が有ります。

ロックウェル硬さ試験機
R試験機
測定方法は
R試験方法
硬さにより スケールC, B, A を使用し、
スケールCで測定した硬さを ”HRC”、スケールBを ”HRB”、で表します。
  
              
                    測定圧子
                    R圧子
                    圧子による凹
                    凹
硬さ試験には ビッカース硬さ、ロックウェル硬さ、ブリネル硬さ、ショア硬さ試験などが有ります。
それぞれに特徴があり、測定する試料の大きさ、厚さ、材質、焼入れ、硬さなどにより使い分けます。
ねじでは一般的に、タッピンねじ、浸炭焼入れではビッカース硬さ試験を、調質(ズブ)焼入れの
小ねじ・ボルトではロックウェル硬さ試験を使用します。

              参考 ロックウェル硬さ測定原理
            R原理図

2011/10/05 | 品質管理
ねじの品質管理⑨(硬さ試験①)

ねじの品質管理⑨ 
  硬さ試験①  マイクロビッカース硬さ試験(HV)
浸炭焼入れなどでねじの表面を硬くした場合の表面硬さや、ねじ芯部の硬さを測定する時に
マイクロビッカース硬さ試験機を使用します。

特に、タッピンねじでは、ねじ自身で相手材(鉄などの金属)を塑性変形させ、メネジを成形さ
せるので相手材に負けないだけの硬さが必要になります。
マイクロビッカース硬さ試験機 
ビッカース試験機
測定方法は 対角面136゜の正六角錐ダイヤモンドで作られた圧子を測定面に荷重を掛けて圧痕
をつけます。

ダイヤモンド圧子
圧子
測定面に圧子で荷重を掛け圧痕を付ける 
負荷
作られた圧痕
圧痕
当然のことながら、作られた圧痕は材料が柔らかい程大きく、硬いもの程小さくなります。圧痕の対角方向のA寸法を測定し計算式によりビッカース硬さ HV が測定されます。
V解説
ビッカース硬さ試験は材料の大小に拘らず、全ての金属に使用することが出来、硬さ試験の中で
最も一般的な使用度が高い。

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