ねじ職人コラム

Screw Craftsman Column

表面処理

2012/03/29 | 表面処理
表面処理⑤

表面処理⑤
その他の表面処理
 陽極酸化処理(アルマイト)
アルミニュウムの表面処理のなかで、最も代表的な処理には
陽極酸化処理(アルマイト)が上げられます。
陽極酸化処理の用途は、サッシ、ビルの内外装、自動車などの車両、
容器、エクステリアなど多様な箇所に使用されています。

機能的には耐食性、耐候性、装飾性、着色を主な目的として加工されます。
       やかん①         やかん②
陽極酸化(アルマイト)の加工原理は
陽極酸化処理
陽極(+)側に加工するアルミニュウム製品を陰極(-)側に鉛板などを使用し
希硫酸やしゅう酸などの溶液中で電気分解をすると、アルミニュウム表面に
酸化皮膜が生成されます。
この皮膜がアルマイト皮膜、陽極酸化皮膜と呼ばれるものです。

この皮膜は処理時間と共に成長し、下図のような多数の微細孔を有する多孔層
(Porous layer)となっています。
(この構造は裸眼程度では見えず、電子顕微鏡などで観察されます)

アルマイト表面構造
この多孔層を利用した加工がいろいろと施されています。
その特徴を利用しての例としてアルマイトのカラー加工が有ります。
着色皮膜
多孔部分に赤、黄色、緑、青などの染料や金属酸化物を孔に吸着させることによる
染色加工

アルマイト

2012/01/24 | 表面処理
表面処理④

表面処理④
錆の発生(亜鉛めっき)
鉄などの金属は大気中、腐食雰囲気中等において腐食し錆が発生します。
それを防止する為に、鉄(ねじ)では亜鉛メッキが多く施されます。
亜鉛メッキでの錆の発生概略について見て行きます。

亜鉛メッキの保護膜であるクロメート被膜にキズ、割れ、劣化等のダメージを
受けると、

Stage 1
ST1
クロメート皮膜には多少の自己修復作用は有りますが、それ以上の
ダメージを受けるとその部分から腐食が始まります。

Stage 2
stage
その腐食により白錆が発生します。
この白錆発生により、鉄自身の錆発生が防止されることになります。
鉄地肌に達するのに亜鉛の膜厚により時間を要し、その間、鉄は腐食
から守られます。(犠牲防食作用)

Stage 3
錆stage3
更に腐食が進み鉄地肌に到達すると、鉄の錆・赤錆が発生し始めます。
Stage 4
stagea
更に進むと局部的に、更に全面へと赤錆に覆われて行きます。
Stage 5
錆stage5

2012/01/05 | 表面処理
表面処理③

表面処理③ 
 亜鉛めっき 
亜鉛めっきは鉄素地の防錆処理として多く使用されるのは安価で防錆力に
優れていることによります。亜鉛めっき単体では錆やすいので、亜鉛めっき
後にクロメート処理(化成皮膜処理)を施し、このクロメート皮膜により更に
耐食性(防錆力)が増し、装飾としての外観美も備わります。

 亜鉛めっきの構造
              亜鉛構造
 亜鉛
亜鉛めっきの膜厚により
  2μ以上は 等級が 1級
  5μ以上は       2級
  8μ以上は       3級
 13μ以上は       4級 に分けられます。

当然の事ですが、めっきの膜厚が厚い程耐食性はが高く、ねじでは一般的に
2級(5μ以上)~3級(8μ以上)が使用され、耐食性が求められる自動車部品
では3級の膜厚が使用されます。

 クロメート皮膜
効果には、耐食性の向上、外観を美しく、汚れをつきにくくする目的が有ります。
クロメート皮膜には”3価クロム”と”6価クロム”がありますが、6価クロムは環境
負荷物質に指定され、最近では殆ど3価クロムが使用されています。
3価クロムの皮膜厚は0.1~0.15μ程度です。

6価クロムと3価クロムを比較すると、3価クロムはキズが生じた場合の自己修復
機能(自分でそのキズを塞ごうとする働き)が弱い傾向にあります。

  環境負荷物質 ”6価クロム”の有害性は
   発癌性(肺癌、皮膚癌等)
   長期皮膚接触(吹き出物、水ぶくれ等)
   経口摂取(肝臓不全、血液不順)
   接触アレルギー
   

2011/12/05 | 表面処理
表面処理②

  表面処理②  
表面処理の電気メッキについて、その概略について説明しました。
電気メッキの原理図のよに電気メッキされますが、1本1本メッキ
していたのでは高価で、ねじの使用量からとても非効率極まりません。

メッキ原理
それで電気メッキ原理図の陰極(-)側に籠(バレル)の様なものを設けて、籠の中に
リード線により先端に電極を付け籠を回転させて均一に鍍金をさせます。

バレル装置
       
                     バレル(barrel) : 胴が膨らんだ樽、樽に似た物
この事を装置化し、大量生産化した機械が下図の鍍金装置です。
     鍍金装置
一般的な鍍金装置では、1バレル当り20Kg前後の量が加工されます。
サイズ径が4mmで、長さが12mmのねじでは、約10、000~15、000本のねじが加工されます。

2011/11/16 | 表面処理
表面処理①

表面処理①
電気メッキ 
ねじは大半が金属で作られていることから、
一般的に行なわれている表面処理(メッキ : 鍍金)が施されています。
この表面処理の目的は次の二つに分けられます。
装飾(外観美)  
防食(防錆)
そのほかに、耐磨耗、導通性等を目的とした特殊なものも有ります。

この表面処理として最も多く利用されているのが電気メッキです。
その原理は、下図に示すように 金属(陽極)側に電流を流すと金属が
溶液中に金属イオンとして溶け出し、マイナス(陰極)側に取り付けた
品物(ねじ)に付着して蓄積され、メッキされて行きます。

              めっき原理
ねじの主なメッキとしては
          亜鉛めっき 
          ニッケルめっき 
          クロムめっき 
          銅めっき
などが上げられます。

一般的にねじに使用されている例を紹介いたします。
  <電気メッキ>
亜鉛メッキ(三価クロメート処理)………………..亜鉛メッキ(黒色三価クロメート処理)
ZMNC ZMクロ
ニッケル(Ni)メツキ…………………………………..クローム(Cr)メッキ
Ni Cr
銅(Cu)メッキ……………………………………………….スズ(Sn)メッキ
Cu スズ
亜鉛・ニッケル合金メッキ
ジンロイ
 
 <その他のメッキ>
ジオメット(金属フレークが層状に重)…………..アルマイト(陽極酸化処理:素材アルミニュウム)
ジオメット アルマイト
パシベイト(不動態化処理:素材ステンレス)
パシベイト

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