ねじ職人コラム

Screw Craftsman Column

ねじ締結

2013/08/21 | ねじ締結
タッピンねじ⑦

タッピンねじ⑦
タッピンねじの使用時のトラブルと解決法
その3
前回のタッピンねじ⑥で、トラブルに対する解決法について詳細を説明致します。
適正締付トルクの設定
下図のような貫通の下穴にタッピンねじをねじ込んで、頭部破断が生じた場合、   
         
締め付け
                矢印
              20130723140838668[1]
締付工具の発生トルク設定に問題がある場合が有ります。
締結と同じ又は近い条件で、トルクアナライザー等を用いてトルク曲線を描くと
その設定が容易に出来ます。

トルク
設定の要点は
ⅰ)ST/DTが2.5倍以上有る事
   この数字が大きい程、安全な締付作業が出来る。
   2.5より小さければ使用ねじの選定、下穴径・形状を変える。
ⅱ)ⅰ)の条件を満足するならば、STの60%を目途で設定する
   弾性限、機器、相手材(摩擦係数、下穴)のバラツキ等を考慮して
ⅲ)但し、タッピンね自身が持つ強度(保証締付トルク・下表)を超えない範囲
保証トルク
 
  

2013/07/23 | ねじ締結
タッピンねじ⑥

タッピンねじ⑥
 
タッピンねじの使用時のトラブルと解決法
その2

 タッピンねじやボルト、小ねじを締付けた途端に座面近くで
 ねじが折れる。
 
ml;l
 ⅰ)ドライバーの発生トルクが高い
 ⅱ)使用ねじの選定
 ⅲ)ねじ自身に欠陥が有る
   イ)ねじ製造時の材料自身に欠陥がある
   ロ)ねじ加工時の欠陥
   ハ)ねじ設計時の欠陥
   ニ)強度不足(熱処理、材料の使用・選定、寸法に欠陥)
  が考えられます。

 NHKドラマ「七つの会議」土曜日午後9時~放送(2013年7月13日から)
 ”ねじの強度不足”について取り上げられ、その強度不足の行く末に興味
 が持たれます。
 (前回までの荒筋の強度不足の内容は、あるネジメーカから仕入れたネジで
 椅子の背もたれネジが破損するクレームが生じ、同じネジメーカから仕入れた
 他のネジで列車や航空機に波及か??、リコール隠しか??)
 
 是非見てください。 

2013/06/29 | ねじ締結
タッピンねじ⑤

タッピンねじ⑤ 
タッピンねじ使用時のトラブルと解決法
その1 
  タッピンねじがねじ込む途中から入って行かない
     ( ねじ浮きが生じる )
  考えられる原因
     ⅰ) 相手材の下穴が小さい
     ⅱ) 相手材と焼き付きが生じた
     ⅲ) タッピンねじの焼入れ硬さが低い
     ⅳ)相手材の下穴、タッピンねじの外径バラツキ
      ⅴ) ドライバーの発生トルクが低い

 
   解決方法 
    ⅰ)-1 
        ねじに合った適正下穴を選定する
        選定方法は相手材に0.1mm程度の間隔に下穴を明け
        ねじ込みトルク(DT)を測定する

       -2
         タッピンねじの標準下穴径表(下表)を利用する 
       1種
        2種
        3種
      -3
         ねじ込み性の良いタッピンねじを使用する
            タッピンねじ③④で説明の「エバタイト」、「タップタイト」を使用
    ⅱ)-1 
         油性、離型剤、トルク安定剤等を塗布する 
      -2
         ねじの硬度を上げる
    ⅲ)、ⅳ)
         相手材の下穴、タッピンねじの品質管理が重要
    ⅴ)
         タッピンねじ②で説明した”ねじ込みトルク線図”を作成し、適正締付トルクを検討する
解決法を検討する場合、解決法により他の弊害が生じる場合もありますので、ご注意願います

2013/03/28 | ねじ締結
タッピンねじ②

タッピンねじ②
タッピンねじを相手材に締め付ける際に
START
             ねじ込み開始図
            矢印
             締付け図  
締付図
 
ねじ込み開始図の状態から相手材にタップを立てながら、締付け図の状態になり締結されます。
その過程において、開始時にタップを立てるのに大きな力(トルク)が必要になります。
その力(トルク)が下図”ねじ込みトルク線図”に示す、ねじ込みトルク(Driving Torque)の部分です。
ねじ込み線図
                 
ねじ込みトルク線図
更にねじ込みが進み、相手材にタップ立てが完了し、ねじも貫通すると力(トルク)が軽くなります。
更にねじ込むと相手材にねじの頭部が接し、締付けが始まり、急に大きな力(トルク)が必要になります。
更に大きなばか力で締めると相手材のメネジ、オネジが破断します。
その時の最大力(トルク)を締付破断トルク(Stripping Torque)と言います。

2013/02/20 | ねじ締結
タッピンねじ①

タッピンねじ①
タッピンねじとは
小ねじは相手側にタップ穴(めねじ)やナットが使用されます。めねじ加工
めねじの加工は相手側にドリル又はプレスにより下穴を明けて、その後
タップ(Tap)工具を使用してめねじを加工します。
作られた”雌ねじ”、”ナット”に”雄ねじをねじ込み使用します。
このタップ加工を無くし、ねじ自身が直接、ねじ込むと同時に雌ねじを
作るねじが ”タッピンねじ” です。
横文字で書くと ”Self Tapping Screw”

タッピング
上図の工程により、ねじが締付けられて行きます。
タップ工程が省かれます
下穴にねじ自身がタップしている様子
  
タップGo
矢印ねじ込み
タップ全加工

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